「カタチが決まるまで間取りを描くな」  架構と耐震編

9/25に行われた建築知識のwebセミナー「カタチが決まるまで間取りを描くな」シリーズ第二弾、「架構と耐震編」の録画がyoutubeに正式アップされました。美しい架構を見せようと思ったら、耐震等級以外に考えることが沢山あることがこれを見るとご理解いただけると思います。かなり専門的な内容なのでプロ向けですが、ぜひご覧いただければと思います。

なお、シリーズ最終回「カタチと性能編」は夢・建築工房社長岸野さん、ホームズ君のインテグラルさんと12/10、17時から、競演予定してます。リアルタイム配信だと質問回答コーナーがあって、録画編より楽しめます。事前登録はいらないので是非スケジュール入れておいていただければと思います。

日時:12月10日(木)17:00~18:30
形態:YouTubeライブ配信
URL:https://youtu.be/L1Hr2zUa-uM
申込:不要。どなたでも視聴できます。指定日時にアクセスしてください。
主催:住宅性能診断士 ホームズ君 × 建築知識ビルダーズ


工務店設計塾 第1回

工務店設計塾第一回は11/19~20で無事終了しました。オンライン飲み会にはオガスタ相模さんも参加いただき、大いに盛り上がりました。

即日設計課題の敷地は横浜K邸をベースにした敷地です。南は隣家が迫るけれど、東西には眺望がいいという条件。

K邸は間口6.8m、民法守って3間が限界の敷地。かつ1種高度斜線がかかります。この家は1階の階高2420、2階の軒高2100。普段広い敷地ばかりエリアの皆さんには、ちょっと難しすぎるかなと思ったんで敷地の間口は8mに広げました。また、コロナ時代の住宅として、夫婦それぞれに書斎的なワークスペースがあることを条件にしました。

こういう眺めの良さをどう生かすかが課題です。また、今回は「型→屋根→中間領域→架構→間取り」という順番で考えること、一応30名の案が出るコンペなので他の人にはない魅力を提案することをお願いしました。

3時間の時間制限ですが、たくさんの優れた案が集まりました。30人中特に良かったのは下記7点。初回ですので、どうしても完成度が高い案件を選んでしまっていますが、次回は成長が著しい人を選びたいと思っています。選ばれなかった皆さんも次回は頑張ってください。
なお、案はPDF化した最終成果物がすべてです。私は講評の時はどんな簡素な図面でも、図面を一旦3次元の外観・空間に翻訳して案を見ていますが、お客さんはそんなことはできませんし、丁寧さ綺麗さだけで案を判断されることもあるので、見栄えのいいプレゼンテーションの仕方も考えていただければと思います。得に鉛筆書きの時は薄くなりやすいので、スキャンした画像のコントラストを強調するだけでも、見え方は全く違ってくると思います。

相羽建設、中村さんの案。さすがにスーパー工務店の設計担当というだけあって、完成度はピカイチでした。座学で私が示した大黒柱的な架構は相羽さんのドミノとも共通点が多く、普段からこういうすっきりした設計されてるのでしょう。圧倒的に線が少なく、インスタ間取りサイトなどにある、家事動線しか考えていない間仕切りだらけの間取りとは全く違う次元の図面で気持ちがいいです。ただこの図面を見ていると、結局、最初に箱ありきでそれをくりぬくという感じで作っている感じがあって、うまいけどあまり記憶に残らなかったというのが正直なところです。次回、もっと攻めた案で提出していただきたいと思います。

建築工房アシストプラスアルファ、沢本さんの案。講義内容を受けると、みんな「抜けのある箱型」になっちゃうかなと思ってたんですが、沢本さんの案は東西幅をめいいいっぱいとって日照を得る工夫をしつつ、スキップフロアにしているのが新鮮でした。講評会では、視線が斜めに抜けるスキップフロアなのに、西ブロックの個室位置と壁位置が見通しを阻害している点がまずそうというだという話になりましたが、図面表現が非常に味わい深く、多少のまずさがあってもそれを上回る魅力があったので、「飯塚賞」とさせていただきました。

鈴木建築、伊藤さん。2階リビングでハイサイドライトで採光した案です。すっきりした長方形のLDKの南や東には中間領域が設けられています。リビング回りの居場所も方々にできていて快適そう。寝室も東西どちらかの窓が必ずある間取りです。鈴木さん「ゾーニングと考え方がはっきりしている。中間領域の取り方もいいし、極めてシンプルなんだけど豊かさがある。」ということで「鈴木賞」にえらばれました。

ハンズ、小菅さん。シンメトリ切妻で東側は縦半分を凹ませて、西側は立面L型に凹ますという型を持った案です。外が先、間取りは後からという今回の飯塚のレクチャーを最も忠実に反映した非常に魅力的な計画になっていると思います。飯塚に寄せ過ぎという話もありますが、コンペで審査員を研究するというのは当然のことですから、むしろそれは素晴らしいことだと思います。プレゼンを工夫すれば、たぶんこの案を選びましたので、次回は画材とかを研究して臨んでいただきたいと思います。

オーパススタイル、寺内さん。初めて立面から考えたそうなんですが、立体感のある玄関回りが楽しいです。谷側にも同じような仕組みがあるとよかったと思います。プレゼンテーションは単色ですが、とてもきれいだと思います。

アグリトライ、小嶋さん。2階リビングで2階中央に中庭を取ったこと、ガレージを建物下にとったことが大きな特徴です。外観は木張りで楽しげに描かれていますが、中庭とガレージが魅力づくりにあまり貢献してないのが残念なところ。設計条件にないことを織り込むことは自由ですが、提案する以上は魅力的に作らないとまずいかなと思います。(座学の「条件、目的、解法」のところを見逃し配信で復習いただければと思います)

Reborn、塩原さん。玄関をあえて南の中央に設け、クローバー動線を作っています。間取りは一番好みでしたが、西の寄棟が「型」としての強度を下げているし、骨格も美しくならないので、屋根の形がどうしても納得できませんでした。プレゼンももう少し違った作戦で攻めるといいと思います。

ともあれ、ここに書いた皆さんは3時間でこんな感じなんで設計の実力は十分かと思います。次回も期待しています。

今回の課題は、形を作る前に、まず「型」を考えるというのがテーマです。型を探すなら事例が一番。自分の事務所の建築ならどの家が敷地に一番ぴったり来るか考え、それをいったん置いてみるのもいい方法です。これは、敷地に葉山Q邸を置いて、ドーマーの向き、高さ、屋根の角度を調整したもの。高久が3時間でQ邸のCGを手なおしたものですが、なかなか面白そうにできてますね。

これは鈴木先生に書いていただいたお手本です。飯塚の講義を踏まえ飯塚風に書いていただいたとのことですが、上から光が降ってくるとても楽しそうな空間ができてます。部屋が北側に集まって、南に吹き抜けがある構成は空間は実作のK邸に近いし、南の採光の仕方は上のCGと同じですね。この家の田の字の組み合わせで間取りをつくる方法は次回の座学で解説いただく予定ですのでお楽しみに。

工務店設計塾online

11月19日から六回シリーズで工務店設計塾がスタートします。2日間で座学+即日設計実技課題→講評を行います。6回あるので体系的な学びが可能です。今回は新住協理事「片付けの解剖図鑑」著者の鈴木信弘さんと一緒なので、座学も実技課題も大変盛り上がると思います。設計塾の詳細は下記URLからどうぞ。
https://www.s-housing.jp/archives/212154

下記はオガスタ相模さんにお話しいただいた飯塚像。相模さんありがとうございます。

ビルダーズセミナーyoutubeで公開

先日のビルダーズのウェブセミナーですが、録画が正式公開されました。ぶっつけ本番の一発撮り、というかリアルタイム配信の録画なので、しゃべり方はもう一つですが、内容は推敲を重ねたものなので、良くまとまっていると思います。

この中で私は、95%以上の設計者が採用している「間取り最優先の設計法」に対して問題を提起。10年間大学生に指導する中で発見した、「魅力的な建築をつくる5つの手順」を語っています。

設計事務所、工務店、ハウスメーカーを問わず、すべての設計者に関係のある内容ですし、見るだけで設計がうまくなるので、リアルタイムで見逃した方も、改めて復習したい方もぜひご覧ください。また、お施主の皆さんは、自ら出した要望が魅力のない家の原因にならないように、この動画を見て要望の出し方をぜひ再考してみてください。

ビルダーズが運営する「これからの建築maps」のご案内はこちらです→https://korekara-maps.jp/1469/


なお、この「基本編」の動画の続編「構造編」が9/25にリアル配信されます。
日時:9月25日(金)17:00~18:30
形態:YouTubeライブ配信
URL:https://youtu.be/iqKE0eA0bpg
申込:不要。どなたでも視聴できます。指定日時にアクセスしてください。
主催:住宅性能診断士 ホームズ君 × 建築知識ビルダーズ

詳しくはこちらです→https://korekara-maps.jp/1450/

「伊賀の家」にラクジュさん来訪

建築系youtubeサイトとしては最大の登録者数(6.5万人)を誇る、「ラクジュ建築と不動産」の本橋さん、横浜から遠路はるばる伊賀の山奥まで来ていただきました。ドローンまで飛ばしていただいてます。 是非ご覧ください。本橋さんファンということで、現在工事中、津F邸の二枚目ご主人も登場しています。

国立N邸竣工 

アイプラスアイ案件として、関東では初めての超高断熱住宅、国立N邸竣工しました。
ハウスメーカーでは超高性能になると、なぜか箱型の何の面白みもない建物になってしまうようですが、「高性能であること」と「建築的に魅力的なこと」は、なんら矛盾しません。 今回のN邸は耐震等級3でUA値0.23という超高性能住宅ですが、屋根や中間領域から形を考えることで、いつも通りのデザインのクオリティを守っています。竣工写真はこちらにまとまっています。ぜひご覧ください。

国立N邸オープンハウスのお知らせ

来る2020年8月8日の土曜日、建主様のご厚意により、アイプラスアイ設計事務所で設計監理いたしました、国立N邸のオープンハウスを開催できることになりましたのでご案内致します。

国立N邸はアイプラスアイ案件としては都内では初めての超のつく高気密高断熱住宅となります。施工は超高断熱住宅に特化したスーパー工務店、夢・建築工房。屋根:350mmGW吹込み(22Kg/立米)、壁:高性能GW充填105mm付加断熱120mm、基礎:EPS内外断熱で、サッシはオール木製のトリプルガラスサッシとなっています。一種換気はダクトレス方式。冬は玄関のエアコン、夏はロフトのエアコンで家中を冷暖房する計画です。
大きなデッキテラスのある広々としたリビングには、ラウンジピット、小上がり、ダイニングテーブル、書斎コーナーなど、たくさんの居場所をつくりました。2階の個室群の中央にも、階段状の本棚がある共用のホールを設けています。
長期優良住宅で耐震等級は3。 UA値は0.23。C値は0.1。 省令準耐火構造の基準もクリアしています。

■住所:国分寺市日吉町
■日時:2020年8月8日(土)、am10:00~pm4:00
■最寄駅:国立駅より徒歩8分
■車の場合:コインパーキングをご利用ください。
■ご連絡先:アイプラスアイ設計事務所 飯塚豊
mail:yutakaiizuka2000@yahoo.co.jp

見学会は予約制となっております。見学希望の方は、お越しになるお時間(密を避けるため時間を調整させていただくことがあります)、お名前、見学人数、ご連絡先、家作り予定者・設計者・施工者 ・OB・その他の別をお知らせください。
マスク着用お願いします(マスクはお持ちください)。お子さんでもマスク・手袋着用しないと入場できません(大人用手袋はこちらで用意いたしますが、お子さんの手袋はぜひお持ちください)

茅ヶ崎K+H邸オープンハウスのお知らせ

来る2020年8月1日の土曜日、建主様のご厚意により、アイプラスアイ設計事務所で設計監理いたしました、茅ヶ崎K+H邸のオープンハウスを開催できることになりましたのでご案内致します。

茅ヶ崎K+H邸は積層型の二世帯住宅です。外観は南を大きく開口したシンプルな切妻。外壁は2色の杉板で上下を分節しているので、単純に上下に積層しているように見えますが、実際は両世帯を立体的にかみ合わせた変化に富んだ空間となっております。
床は親世帯カリン、子世帯チーク、両世帯とも主な天井はツガ張です。
2階は小屋裏を吹きぬいているので、屋根は登梁+厚物合板で剛性を高めました。Ua値はヒート20G2クラスの0.46。認定低炭素住宅、フラット35金利A、省令準耐火の基準に適合しています。

■住所:茅ヶ崎市十間坂
■日時:2019年8月1日(土)、pm1:00~5:00(今回は午後のみの開催です)
■最寄駅:茅ヶ崎駅より徒歩13分
■車の場合:当日飯塚までお電話ください。駐車スペースご案内いたします。
■ご連絡先:アイプラスアイ設計事務所 飯塚豊
mail:yutakaiizuka2000@yahoo.co.jp
■当日連絡先: 飯塚携帯 090-6156-7488 

見学会は予約制となっております。見学希望の方は、お越しになるお時間、お名前、見学人数、ご連絡先、家作り予定者・設計者・施工者 ・OB・その他の別をお知らせください。
マスク着用お願いします(マスクはお持ちください)。お子さんでもマスク・手袋着用しないと入場できません(大人用手袋はこちらで用意いたしますが、お子さんの手袋はぜひお持ちください)

2020年4月入所の高久

2020年4月入所の高久です。工学院大学卒業後、京都造形大の大学院を卒業しており、大学院では横内先生、堀部先生、丸山先生の指導を受けてます。先生方の作品をきちんと研究しているからなのか、得意のスケッチアップで3次元で把握できてるからなのかはわかりませんが、要点を示せば、もうサッシの納まりや矩計図が描けます。テレワーク中に確認や長期の申請を自力でまとめる要領の良さもあり、先日の一級の学科試験も1発合格したようです。 これからは現場にも出しますので、皆様よろしくお願いいたします。

名古屋T邸工事スタート

切妻のシンプルなボリュームに大きな庇をつけた構成の家、名古屋T邸の設計がまとまりました。敷地はひな壇上に造成されていた危険なブロック擁壁を取り壊し、東はRC擁壁を再築造、南は傾斜地の自然地形を再現しました。 外壁は緑の背景になるように焼杉に。
施工は新住協マスター会員、愛知県小牧市の「エンズホーム」です。 エンズホームはアウトドアブランド 、スノーピークの代理店でもあるのですが、今回のT邸はそんなエンズさんにぴったりの豊かな中間領域を持つ家にまとまっています。担当は棟梁兼監督の表野さん、サポートは庄司さんの予定です。

玄関はガデリウス。 2階の窓周りも同色系でまとめます。下屋の屋根は 中間領域と日射取得を両立する庇の形を考えました。 軒の出は南側掃き出し窓の前では90cm。東側、窓を外したところでは3.2mのたっぷりとした奥行きです。ボリュームがコンパクトで表面積が小さいので、UA値はHEAT20のG2を楽々クリア。床下エアコンもありますから、冬はとても暖かい家になりそうです。

今はただ土が広がる何もない敷地ですが、将来は豊かな地形のある雑木林にすることを目指します。

『カタチが決まるまで間取りを描くな』

現在発売中の建築知識ビルダーズの最新号、造園特集=「小さな庭のはじめかた」は売れ行き好調なようです。巻頭の阿部勤さんの自邸紹介、伊礼さん+荻野さんの「南与野の家」の10年前と現在のビフォーアフター、momohanayaさんの「小さな庭の超コスパ外構術」など見どころ満載の号となっております。

今号から「飯塚豊の『カタチが決まるまで間取りを描くな』」という連載が始まりました。
家づくりで建て主さんが最も興味を持つのは「 間取り」。敷地が決まると設計者がまず手を付けるのも「間取り」。ハウスメーカーであれば間取りが決まればコストもはじけるし、すぐ契約することも可能です。
でも、私はこの間取りの極端な偏重が、でたらめな街並みや楽しめない家ができてしまう主原因だと考えています。本当に魅力的な家を作ろうと思ったら、間取りの前に「考えておくべきこと」は沢山あります。この連載では実例写真とともに、その「 考えておくべきこと 」を具体的に解説していきます。
今回のテーマは「屋根」。ご主人がDIYで作り上げた前庭のある焼杉の逗子S邸を実例として紹介しています。ぜひご覧ください。

国立N邸今日の現場

国立N邸今日の現場。棟梁は家具の制作に入っています。2階ホール天井はツガ。 アッシュハギ板製の ロフト階段や、本棚もできました。正面のサッシは木製で、欄間には台形のサッシが入っています。

1階はツガの天井も張り終わっています。南の大窓は木製サッシ。東北のサッシメーカー、アルスの「夢まど」。

窓際のラウンジピットも完成。床はカーペットになります。養生されていて見えませんが、フローリングは岡崎製材のラスティカルアッシュ。

階段の左手、ラウンジピットの境は書斎カウンター。階段下はオーディオ機器置き場になっています。配管配線がごっちゃリ入ってますが、気密は貫通しないようにしました。こちらの階段もアッシュのハギ板です。

リビングダイニングまわりは、大空間に沢山の居場所を作るのを目標にしています。
ここは掘りごたつ形式の小上がりこもりスペース 。

気密試験も行いました。結果は文句なしの0.1 c㎡/㎡ 。
もともと今回施工をお願いしている夢建築工房は0.5c㎡/㎡保証なんですが、 さすがですね。