工務店設計塾 第1回

工務店設計塾第一回は11/19~20で無事終了しました。オンライン飲み会にはオガスタ相模さんも参加いただき、大いに盛り上がりました。

即日設計課題の敷地は横浜K邸をベースにした敷地です。南は隣家が迫るけれど、東西には眺望がいいという条件。

K邸は間口6.8m、民法守って3間が限界の敷地。かつ1種高度斜線がかかります。この家は1階の階高2420、2階の軒高2100。普段広い敷地ばかりエリアの皆さんには、ちょっと難しすぎるかなと思ったんで敷地の間口は8mに広げました。また、コロナ時代の住宅として、夫婦それぞれに書斎的なワークスペースがあることを条件にしました。

こういう眺めの良さをどう生かすかが課題です。また、今回は「型→屋根→中間領域→架構→間取り」という順番で考えること、一応30名の案が出るコンペなので他の人にはない魅力を提案することをお願いしました。

3時間の時間制限ですが、たくさんの優れた案が集まりました。30人中特に良かったのは下記7点。初回ですので、どうしても完成度が高い案件を選んでしまっていますが、次回は成長が著しい人を選びたいと思っています。選ばれなかった皆さんも次回は頑張ってください。
なお、案はPDF化した最終成果物がすべてです。私は講評の時はどんな簡素な図面でも、図面を一旦3次元の外観・空間に翻訳して案を見ていますが、お客さんはそんなことはできませんし、丁寧さ綺麗さだけで案を判断されることもあるので、見栄えのいいプレゼンテーションの仕方も考えていただければと思います。得に鉛筆書きの時は薄くなりやすいので、スキャンした画像のコントラストを強調するだけでも、見え方は全く違ってくると思います。

相羽建設、中村さんの案。さすがにスーパー工務店の設計担当というだけあって、完成度はピカイチでした。座学で私が示した大黒柱的な架構は相羽さんのドミノとも共通点が多く、普段からこういうすっきりした設計されてるのでしょう。圧倒的に線が少なく、インスタ間取りサイトなどにある、家事動線しか考えていない間仕切りだらけの間取りとは全く違う次元の図面で気持ちがいいです。ただこの図面を見ていると、結局、最初に箱ありきでそれをくりぬくという感じで作っている感じがあって、うまいけどあまり記憶に残らなかったというのが正直なところです。次回、もっと攻めた案で提出していただきたいと思います。

建築工房アシストプラスアルファ、沢本さんの案。講義内容を受けると、みんな「抜けのある箱型」になっちゃうかなと思ってたんですが、沢本さんの案は東西幅をめいいいっぱいとって日照を得る工夫をしつつ、スキップフロアにしているのが新鮮でした。講評会では、視線が斜めに抜けるスキップフロアなのに、西ブロックの個室位置と壁位置が見通しを阻害している点がまずそうというだという話になりましたが、図面表現が非常に味わい深く、多少のまずさがあってもそれを上回る魅力があったので、「飯塚賞」とさせていただきました。

鈴木建築、伊藤さん。2階リビングでハイサイドライトで採光した案です。すっきりした長方形のLDKの南や東には中間領域が設けられています。リビング回りの居場所も方々にできていて快適そう。寝室も東西どちらかの窓が必ずある間取りです。鈴木さん「ゾーニングと考え方がはっきりしている。中間領域の取り方もいいし、極めてシンプルなんだけど豊かさがある。」ということで「鈴木賞」にえらばれました。

ハンズ、小菅さん。シンメトリ切妻で東側は縦半分を凹ませて、西側は立面L型に凹ますという型を持った案です。外が先、間取りは後からという今回の飯塚のレクチャーを最も忠実に反映した非常に魅力的な計画になっていると思います。飯塚に寄せ過ぎという話もありますが、コンペで審査員を研究するというのは当然のことですから、むしろそれは素晴らしいことだと思います。プレゼンを工夫すれば、たぶんこの案を選びましたので、次回は画材とかを研究して臨んでいただきたいと思います。

オーパススタイル、寺内さん。初めて立面から考えたそうなんですが、立体感のある玄関回りが楽しいです。谷側にも同じような仕組みがあるとよかったと思います。プレゼンテーションは単色ですが、とてもきれいだと思います。

アグリトライ、小嶋さん。2階リビングで2階中央に中庭を取ったこと、ガレージを建物下にとったことが大きな特徴です。外観は木張りで楽しげに描かれていますが、中庭とガレージが魅力づくりにあまり貢献してないのが残念なところ。設計条件にないことを織り込むことは自由ですが、提案する以上は魅力的に作らないとまずいかなと思います。(座学の「条件、目的、解法」のところを見逃し配信で復習いただければと思います)

Reborn、塩崎さん。玄関をあえて南の中央に設け、クローバー動線を作っています。間取りは一番好みでしたが、西の寄棟が「型」としての強度を下げているし、骨格も美しくならないので、屋根の形がどうしても納得できませんでした。プレゼンももう少し違った作戦で攻めるといいと思います。

ともあれ、ここに書いた皆さんは3時間でこんな感じなんで設計の実力は十分かと思います。次回も期待しています。

今回の課題は、形を作る前に、まず「型」を考えるというのがテーマです。型を探すなら事例が一番。自分の事務所の建築ならどの家が敷地に一番ぴったり来るか考え、それをいったん置いてみるのもいい方法です。これは、敷地に葉山Q邸を置いて、ドーマーの向き、高さ、屋根の角度を調整したもの。高久が3時間でQ邸のCGを手なおしたものですが、なかなか面白そうにできてますね。

これは鈴木先生に書いていただいたお手本です。飯塚の講義を踏まえ飯塚風に書いていただいたとのことですが、上から光が降ってくるとても楽しそうな空間ができてます。部屋が北側に集まって、南に吹き抜けがある構成は空間は実作のK邸に近いし、南の採光の仕方は上のCGと同じですね。この家の田の字の組み合わせで間取りをつくる方法は次回の座学で解説いただく予定ですのでお楽しみに。