屋根は間取りより先に考える

この資料は、昨年の住宅デザイン学校の私の講義パワポからの引用です。これ、実はエクスナレッジの書籍、「最もくわしい屋根・小屋組の図鑑」の序文を 1枚にまとめたものなんです。下記に序文全文を掲載しますので是非読んでいただければと思います。

住宅のシルエットに個性を付与する最も重要な要素は屋根である。

 なぜなら、壁面は部屋の輪郭をなぞるので、直方体の組み合わせにせざるを得ないが、屋根は様々な形状、角度、高さ、大きさの無数の可能性を、部屋の形状や機能に縛られず選択できるからだ。その土地の気候風土を色濃く反映した、世界各地の伝統的民家の多様性を考えてみれば、「屋根が個性をつくる」ということは疑いようがない事実だろう。

  軒の出や軒の高さのちょっとしたシルエットの違いで建築の格好よさは大きく変わる。また、屋根の形状次第で、建築のなかの空間も大きく変わる。このように、屋根は意匠と空間を同時に決定づけるものなので、本来、真っ先にデザインすべき対象であるはずだ。

 ところが 、実際の家づくりの現場では、間取りパズルの後で屋根の形を決めることが一般的である。そのように設計すると、間違いなく下部構造と屋根はちぐはぐになるのだが、木造軸組工法も枠組壁工法も、間取りと一切無関係に屋根を架けられるから、屋根の検討はいつも後回しになる。

 広いおでこの上にちょこんと似合わない帽子が載ったような奇妙なプロポーション、山や谷がやたらに多い雨漏りしやすそうな複雑な形状、法規制をなぞっただけの勾配……街中で見かけるそんな家は、おそらく全部、後づけで屋根を考えるという、おかしな方法で設計されている。

 構造、止水、断熱、通気、法規など要求される性能や規制も多いので、クライアントが自力で屋根形状考えることは難しい。だから、 敷地状況、空間性、コスト等をにらんで、屋根形状の「最適解」を提案するのは意匠設計者の重要な役割だ。屋根を決めれば架構が自ずと想定できる。|

 たとえば30~40坪程度の「切妻屋根」なら、棟木の下に大黒柱を1~2本通すかたちが構造的には最も素直だ。間取りは屋根を支えるその柱を意識しながら描けば無理がない。そうすれば耐震性も向上するし、屋根なりの空間を見せることも簡単にできる。

 どんな形の屋根でも、ひとたび形状を決定すれば、無理のない架構システムや空間の使い方が暗示される。そんな「屋根の声」を聴くことが、いい建築をつくるための第一歩だ。 

 まず、屋根を考えよう。間取りを考えるのはその後だ。

 屋根を間取りに先行した例1 飯能K邸
屋根を間取りに先行した例2   飯能K邸
屋根を間取りに先行した例3 新潟K邸

電気引き込みのルール

(旧ブログより転載)
まず、名称を覚える。「引込線」とは電柱から軒先などに取り付けられている「引込線取付点」(黄または赤のチューブ状の標識がついているところ。ちなみに、チューブが黄色の場合は東電が引込をしたということで、赤色の場合は工事店が東電より委託を受けて引込をしたということらしい。)までをいい、その先は「引込口配線」を経由して「屋内配線」となる。
引込線取付点が、お客の設備と東京電力の設備の境目(保安責任・財産の分界点)になる。

下記の東北電力の絵の方がわかりやすいか。引込線取付点で分界点ができるが、お客側にある、メーターと電流制限器(アンペアブレーカーまたはリミッターとも呼ばれる)は電力会社の物。

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東電の引込線の高さのルール:下記にまとまっている。
「引込線及び引込口配線の取扱い」
最小で2.5mだが、弱電と60cm以上離すというルールもあるので、最小で3mと考えておけば良いか。

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メーターの高さ:下端で1.8m確保する
引込線取付点からメーターまでの配線:お客工事。昔の建物は外壁筋に沿ってメーターまで線が這っていたが、建物内に隠蔽してよい。引込線取付点側には入線カバーを付け、メーター部は直接ボックスの裏から電線を出すのが一般的。
盤とメータの関係:引込口(おそらくメーターから2時側配線の建物側取り込み口のこと。上記のやり方ならメーターの裏になる)と分電盤の間の距離は内線規定で8m以下と決まっているらしい。
幹線のサイズ:一般の住宅は、単相3線式なので、3芯のCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁シースケーブル、外側黒)などで引き込む。回路数や契約容量によって、幹線の太さは異なる。非オール電化の場合、契約容量は60アンペア以下になるので、14mm2(業界では14スケなどと呼ぶ)のCVケーブルで足りそう。SVケーブル(VVケーブルともいう、外側グレイ)の場合はワンランク太くする必要があるらしい。

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CVケーブルとCVTケーブル



まず、名称を覚える。「引込線」とは電柱から軒先などに取り付けられている「引込線取付点」(黄または赤のチューブ状の標識がついているところ。ちなみに、チューブが黄色の場合は東電が引込をしたということで、赤色の場合は工事店が東電より委託を受けて引込をしたということらしい。)までをいい、その先は「引込口配線」を経由して「屋内配線」となる。
引込線取付点が、お客の設備と東京電力の設備の境目(保安責任・財産の分界点)になる。

■「単相3線式」:単相3線式は、3本の電線のうち真ん中の中性線と上または下の電圧線を利用すれば100ボルト、中性線以外の上と下の電圧線を利用すれば200ボルトが利用できる仕組み。新築では単相3線式が標準なので、エアコンは100V、200Vどちらでも対応できる。

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