逗子S邸概要

逗子S邸、オープンハウスにお越しになれなかった方々に向けて、オープンハウス前後の時間に撮った写真をご紹介したいと思います。

S邸は山を背負う敷地に建つ5人家族の住まいです。敷地は東西に細長いので、オープンスペースの取れる見通しのいい東側を前庭としました。 屋根は切妻で北側通路沿いの立面はシンメトリーです。 平面は桁行4間、梁間4.5間、ほぼ正方形の総2階。
庭はありますが、眺めのいい2階をリビングにました。 家の角は適宜凹ませ、半外部空間を作っています。各階とも前庭側に積極的に開く構成です。サッシはサーモスXトリプルガラスでUA値は0.50です。

屋根中央には2.4mの高さがある巨大な嵌め殺し窓があります。窓の4周は木枠で強調しました。外観は焼きっぱなしの焼杉。塗装費が節約できるので意外とローコストですが、指で触れば黒くなります。2階のバルコニーはさすがにそれでは困るので、荒磨き仕様でキシラデコール塗装しています。

玄関ポーチも黒くなると困るので、杉板を目板張りをこげ茶色で塗装し、焼杉部分と分節、2階の浮遊感を強調してます。玄関照明はお施主Sさんがデンマークで買ってきたルイス・ポールセン。ドアハンドルは堀商店。照明同様、経年変化で味が出る仕様です。

玄関ホールです。 Sさんの1階に対するリクエストは「遺跡のような見通せない空間」。廊下を挟んだ2つのコアの両側が子供部屋になっています。といっても子供部屋は仕切りもあいまいな空間です。家族の成長に応じて、子供たちがスペースを適宜占拠していくという、やや過激なプラン。廊下の両脇には収納や階段のコアがあって、2つの回遊動線がつくられています。

石張りの玄関土間は、将来ご主人がお店をやるために広々取っています。その先にまだ空間がつながっているような奥行きのある空間です。壁や天井に光がうまく回るように窓は際に寄せています。 壁はすべて色付きのしっくい。少し大きめの骨材が入っていて、今回は横に引いて仕上げています。 壁際、基礎立ち上がりが出っ張ってるのは断熱のためです。

子供部屋です。欄間部が抜けていて完全に閉じてはいません。こういう曖昧なスペースをゲリラ的に占拠、適宜間仕切りながら使っていくというのが、子供部屋の基本コンセプトです。子供たちが巣立った後はお店として広々使うことができます。
床仕上げのメルバウ、色付きのしっくいにトーンを合わせるため、家具や枠類はウォールナット色で塗装しました。

脱衣室も欄間を開口にしています。ホテル式で左の奥はトイレになっています。洗濯機は階段下に追い出しましたので生活感はある程度おさえられています。

浴室もやはり欄間開口です。在来浴室で、天井はヒバ、壁はタイル、床は十和田石です。この家の中では唯一爽やか系の初々しい色合いになっています。

2階の中央が吹き抜けていて上階の光が落ちてきますから、1階中央が真っ暗になることはありません。

階段吹き抜けを2階から見たところです。吹き抜けの上部にはロフトがあり、奥がテラスになっています。吹き抜けに付く照明も施主支給品です。ウッツォンの弟子でルイジアナ美術館の設計者ヨルゲン・ボー(jørgen bo)のデザイン。

南側はアパートや立駐が迫るため窓が設けにくいので、テラス横の3方のハイサイドライトから積極的に採光する形になっています。テラス下は天井の低い落ち着いたスペース。2階は1階とは対照的にワンルームの広々した空間ですが、こんなふうに広さの違うたまりがそこかしこにできています。奥はスキップフロアで70cm床が上がっています。段差部は収納ですが、エアコンを仕込めるように一部ガラリ戸になっています。テレビはSさんあまり見ないので、小上がり側に置く予定です。

ダイニングからリビング方向を見たところです。地上2mくらいのところにある雁行する薄いスラブが間接照明になったり、ロフトになったりするのが特徴です。屋根は外断熱で、天井の構造体はあらわしです。垂木はべいまつで@303。前庭のある東側は、ステンレスのブレース材で間口いっぱい窓にしました。腰窓の下は本棚です。本棚の縦材はランダムに入っています。

リビングからダイニングを見たところです。切り妻中央の天井をフラットにしたのは中央にあるフィックス窓や、ハイサイドの上枠と付きあい、かつ垂木を一発でかけるためです。ピクチャーウインドウとなるフィックス窓の周りは太い枠で強調しました。窓の前には、エクステンションの大きなダイニングテーブルが置いてあります。

キッチンはⅡ型で、アイランドカウンターは片持構造。3方向から作業が可能です。ちょっとした朝食もここで済ませますね。アイランド天板はウォールナットの接ぎ板です。シンクは一応オーバーシンクにしてあります。

小上がりの部分です。奥の台形窓が効いてますね。小上がりに上がる階段下にエアコンが仕込んであります。エアコンにさわれるよう、階段は分割取り外し式です。右手はキッチンの並びで、冷蔵庫や電子レンジが納まります。

小上がりからロフト方向を見たところです。ロフトへの幅広の階段は、映画を見るときの観客席になります。階段下にはトイレが隠れています。右手の棚は、小上がりから吹き抜けに落ちないようにするための落下防止手すりを兼ねています。

夜も間接系の照明でいい雰囲気です。

以上でオープンハウス前後の暫定写真お披露目終了です。ここで紹介した写真はグーグルフォトのアルバムにまとまっています。照明、ブラインド、家具、雑貨が入った時点でまた、写真撮らせていただこうと思いますのでお楽しみに。

なお、オープンハウスには業界の方に多数来場いただき、いくつかのブログに取り上げて頂いているのでご紹介いたします。そちらもぜひ御覧ください。
家づくりの情報サイト ハウスベースプレス
雨の道をデザインする Yan’s diary