エコハウス大賞2023ノミネート

アイプラスアイ設計事務所と森大建地産とのコラボ、津市YK邸「登梁大屋根のパッシブハウス」がエコハウス大賞2023にノミネートされました。建築知識ビルダーズ54号で、ノミネート10作のうちの一つとして掲載されています。大賞を決めるオンラインイベントは10月26日(木)zoomウェビナー形式で行われます。ご期待ください。
6分のダイジェスト動画は「これからの住宅・建築MAPS」のyou tubeページでご覧いただけます。

当日通信トラブルで30分の割当時間をほぼ使ってしまい、焦って噛みまくってしまいました。お聞き苦しくてすいません。
上記動画のある「これからの住宅・建築MAPS」のページの下の方には、2018年のエコハウス大賞グランプリを受賞した案件の説明を含む動画がまだおいてあります。私のエコハウスに対する思いは下記の動画でも語っていますので、こちらで口直ししていただければと思います。


6分のダイジェスト動画の原稿を作りながらつらつらと考えていたんですが、これからの建築設計は、「建築単体をデザイン」するのではなく、「環境をそのものデザインする」ということが必要になってくると思います。
20世紀の建築は、「自然と都市と切り離された制御可能な内部を作ること」を目的にしていたと思います。強固な外皮によって制御不能な自然や都市と切り離されていたから、超高層やイオンモールのような巨大な建築にすることができたわけです。
21世紀の建築は「自然や都市と接続可能な環境を作ること」に目的が変わってくるのではないか?そうなると建築の外皮は周囲の環境に開きながら内と外が溶け合う曖昧なものになり、建築の内側と建築をとりまく外側をいっぺんにデザインすること、つまり環境そのものをデザインすることが求められるというふうに思います。建築というよりも環境装置のようなものに近づいてくるかもしれません。

20世紀の建築を象徴するキーワードが「機能」であるならば、21世紀の建築を象徴するキーワードは「環境」になると思います。建築である以上、「機能」を避けて通れないのと同じように、これからの建築は「環境」を絶対に避けて通ることはできません。どんなに芸術的なテーマ、哲学的なテーマがあったとしても、周囲の環境から切断されたものは建築としての価値を失っていくことになるはずです。

ところが、設計事務所・工務店の多くは、最低限の温熱環境でさえ満たすことができていません。断熱等級4の義務化でもクレームが出る有様です。設計事務所・工務店が最低限の性能でさえ満たそうとしないのは、単に計算ができないからというだけでなく、性能を追求するとデザインが悪くなる、デザインが画一的になると考えているからという話もあります。

今回私達が設計した住宅は、パッシブハウスで許容応力度耐震等級3ということで性能は限界まで振り切っておきながら、高性能住宅らしくない自由な姿をしています。建材の進化もあって、建築としての魅力を保ちながら、高性能化することは十分可能になってきています。高性能でも多様なデザインは可能です。今回私達が提案したのは大屋根建築ですが、平屋(例えば今回エコハウス大賞応募のアティックワークスの北川さん)や、日射の少ない寒冷地(例えばむつの菊池さん)や、非住宅のパッシブハウスもすでに実現されています。

ところで、我々が現在扱っている「環境」は数値化できるものばかりです。「機能」の様々な項目は数値化することで一般化したように、数値化に成功した温熱環境は、遅かれ早かれ当たり前のものになるはずです。断熱等級の義務化が低レベルのものであれ、法律の制度もこれを後押しすることになるでしょう。デザイン重視の意識の高い人達が、断熱等級6に住むのはすぐに当たり前になると思います。

一方、数値化できない「視覚環境=視覚的な心地良さ」は全く言語化ができていません。「数値化できない心地良さ」を誰もが使えるように一般化することは、21世紀に生きる我々設計者の役割ではないでしょうか。私が提唱する、価値とスケールの座標軸の上で考えた場合、右半分を、特に右上を埋めていくことが今後必要になってくるように思います。今回の設計では、日本民家園にある北村家住宅を参考にしましたが、ヒントは過去の名建築の中にあります。過去の建築を経験して快適だった理由を言語化して誰もが利用できるようにすることが、建築を魅力的にするためには必要だと思います。

一定の数値目標を達成した現在、そういった視覚的な環境を含めて「環境そのものをいかにつくるか」が問われているように思います。

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