西荻T邸
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■掲載誌
「My HOME+ いい間取りの家が欲しい」
「最高の間取りを手に入れる本(エクスナレッジムック)」
「最高に心地のいい住宅をデザインする方法」
「住まいのデザインセンスアップのコツ152」
■設計趣旨
敷地は、古道具屋の多い都内の住宅地にある。建て主Tさんのご要望は、「昭和の面影を残す四角い家」。ほぼ正方形の敷地形状から、外観は素直に立方体に近い単純な形状とした。南側に隣家が迫るため、2階の南側中央と西側中央上部を中庭として凹型にくぼませ、家全体に光を導く計画とした。また、生き物のような愛らしい表情を持たせたいと考え、玄関上部のコーナーにアクセントとなる大窓を配置した。
内部は、廊下、階段室、玄関などの利用率の低い空間は極力排除。ほぼ正方形平面の限られた空間を、スキップフロアによって立体的に活用している。天井の高い広々とした空間は、リビングや土間に割り当て、天井の低い空間は、ロフト収納で有効に活用した。そして、スキップする流動的なワンルーム空間の中に、たくさんのアルコーブ状の「たまり」をつくるように計画し、螺旋状につながった動線で、全体をなめらかに連続させた。たまり空間は、用途の曖昧さをあえて残したので、多目的に利用が可能である。
スキップの構成を生かすため、メインフロアは上階に。2階リビングと2.5階のダイニングが半階分スキップして、幅の広い透けた大階段で繋がっている。最上階にダイニング・キッチンを配置したのは、キッチンから家全体を見渡したいという、建て主Tさんのご要望を反映したもの。洗濯干場として利用する屋上テラスに、洗濯機のあるキッチンからアクセスでき、家事動線がコンパクトにまとまって、機能的に利用できる。キッチンの下部は大きなロフト収納になっている。
一方1階は、プライベートな諸室を配置している。平面は、部屋経由で別の部屋に行く、廊下の一切無い回遊プランだ。浴室へのアクセスも個室から。クローゼット内部の廊下も無駄にせず、回遊動線に組み込んだ。
動線の基点となって各室をつなぐ1階の中心は、タイル張りの土間だ。土間は天井の高い空間で、昼間はスキップした2階の階段の間から、木漏れ日のように光が射す。大型の本棚を設けたことで、T邸の土間はセカンドリビングとして有効に活用されている。